「ハウリン・ウルフとデイヴ・ブルーベックが出会ったかのような音楽」と表現したのは、ハースの才能に惚れ込み、デビューを後押ししたボブ・ディラン。
1945年8月21日、ロサンジェルス生まれ。メキシコ系アメリカ人が多く住むイーストLAで育つ。父親や叔父がジャズ・ミュージシャンだったこともあって早くか ら音楽に目覚め、ピアノ、トランペット、ギターをマスター。13歳の時にミュージシャン・ユニオンに加入、アート・ペッパー、ジョー・パス、レイ・チャー ルズらジャズ、ソウルの大物アーティストと共演。70年代初め、ボブ・ディランとザ・バンドのロビー・ロバートソンに出会う。自作の曲がふたりに気に入ら れ、それがきっかけでワーナー・ブラザーズ・レコードと契約。1975年、ロバートソンのプロデュースによるアルバム『ハース・フロム・アース』でデ ビューを果 たす。1977年には、ザ・バンドの最初の2作のプロデューサーとして知られるジョン・サイモンのプロデュースでセカンド・アルバム『ビッグ・ブライト・ ストリート』を発表。この2作は高い評価を受けたが、いずれも商業的な成功を収めるまでには至らなかった。その後はアルバム制作の機会も得られないまま、 地元でラテン・バンドのギタリストとして 地道にライヴ活動を続けながら、曲作りに励んでいた。1998年8月、プロデューサーに再びジョン・サイモンを迎えて、ニューヨークのシア・サウンド、ベ アズヴィル・スタジオ等でレコーディングを開始。『ビッグ・ブライト・ストリート』から実に21年ぶりとなる新作『ミスター・ドリームズヴィル〜夢の旅人 / I'm Not Like I Was Before』を完成させ、1999年4月初めての来日公演を行う。
彼の作品は、ポール・バター フィールド、リビー・タイタス、フリオ・イグレシアス、マンフレッドマン・アース・バンド、D.C.リー、テレサ・ブライトほか多くのアーティストにカ ヴァーされている。近年では、ドナルド・フェイゲン(スティーリ・ダン)とも共作している。日本でも70年代にティン・パン・アレー、ムーンライダーズ周 辺のアーティストに大きな影響を与え、近年でもアン・サリー(「5/4 Samba」、「Altogether Alone」)やBe The Voice (「Altogether Alone」)ほかにもカヴァーされている。代表作「Altogether Alone」は、フジTVの人気ドラマ『GIFT』(木村拓哉/篠原涼子/忌野清志郎)のテーマ(インスト)が使われ、劇中にハースのヴォーカル・ヴァー ジョンも流れた。2008年には、以前から交流もあり、ハースのファンでもある細野晴臣のトリビュート・アルバムに参加、「ろっかばいまいべいびい」 (ヴァン・ダイク・パークス共演)をカヴァー、大きな話題となった。