4/29/2010
ボブ・ディランとハース
ハースの友人でもあったロス・アンジェルスのギター・ディーラー、ノーマン・ハリスの顧客の中には、ボブ・ディランやロビー・ロバートソン、ジョン・レノンら錚々たるミュージシャンたちがいた。或る日、ハリスのもとに立ち寄ったディランが耳にしたのが、ハースのデモテープ。相当、気に入ったのか、ディランは、90分もあるテープをじっと最後まで聴いていたという。ディランは、すぐにロビー・ロバートソンに面白い曲を書いて歌う男がいると伝えた。これがきっかけとなり、ハースのレコード・デビューが決まる。当初、プロデューサー候補として、レニー・ワロンカーやリチャード・ペリーの名前もあがったという。結局、ディランの『プラネット・ウェイヴス』のレコーディング終了を待って、ロビー・ロバートソン総指揮の下、ハースのファースト・アルバムの制作が始まる。シャングリラ・スタジオには、ディランやレコーディングに参加したガース・ハドソン以外のザ・バンドのメンバー、リヴォン・ヘルムやリック・ダンコも顔を見せた。「コールド・ダーク・モーニング」の録音を見学していたディランが「この曲でハーモニカ吹いていいかい?」というので、ハースが「もちろんさ」と答えた。「じゃ、ハーモニカ取ってくる」とスタジオを出たディランだったが、待てど暮らせど、ディランは戻ってこなかった。これも気まぐれなディラン伝説のひとつ。